2019年台風19号の影響のまとめ(2)

狛江市内の被害状況

狛江市内では多摩川や野川の決壊や越水はありませんでしたが、一部地域で冠水の被害がありました。

多摩川住宅 根川さくら通り(1)

多摩川住宅の東側の根川さくら通りの10月15日の写真です。歩道は泥で覆われ、街路樹にはガードレールより高い位置に冠水跡が残っています。この付近は12日18時30分頃から通行止めとなりました。場所によっては1m以上冠水し、住宅に浸水の被害はなかったようですが、少し低い位置にある集会所が浸水したり、駐車場の車両に被害が出たそうです。(→10月27日訂正記事:住宅も床上・床下浸水の被害あり)

陸上自衛隊第1師団 @1D_nerima Twitterより引用

13日には自衛隊が派遣され、上の写真のようなひどい状態から泥を除去したとのことです。

多摩川住宅 根川さくら通り(2)

反対側の歩道です。この写真の道路の右側が多摩川住宅です。左側には根川という川が流れています。多摩川住宅北西端あたりの湧水から流れ出し、多摩川に注ぐ小さな川です。多摩川住宅は隣接する狛江市の住宅地よりも一段低い位置にあり、そのあたりの雨水が大量に根川に流れ込み、多摩川に排水しきれずに氾濫したものと思われます。多摩川に注ぐところの水門が閉じられてあふれたのかもしれません。(→10月27日訂正記事:多摩川の逆流が原因か)

多摩川住宅周辺 (国土地理院10月13日撮影)

国土地理院が台風一過の10月13日午前に撮影した航空写真です。青い線が根川、(1)・(2)は上の写真の撮影位置です。

多摩川住宅周辺 (国土地理院10月13日撮影)

水色に着色した部分がおおよそ冠水した範囲と思われます。

浸水したのは多摩川住宅付近だけではありませんでした。

10月14日 NHKニュースより

これはNHK総合で放送された一場面です。上部のスクロールする情報画面から、狛江市で床上浸水があったことがわかります。駒井町1-32~36は、第六小学校と猪駒通りの間のあたりです。

狛江市ハザードマップ 多摩川氾濫版

ハザードマップに赤で囲った水色の範囲で示してみました。周辺に比べ特にこのあたりだけ危険度が高くなっているわけではありません。集中豪雨版のハザードマップでも危険度ゼロの地域です。

猪駒通り・駒井大通りの駒井西交差点付近

猪方交番・供養塚公園あたりから、猪駒通りが多摩川土手にぶつかるあたりにかけて、道路冠水の跡があります。泥水ではなかったのか、多摩川住宅周辺のような浸水高さがわかる跡はありませんでした。写真の駒井西交差点付近では18時30分頃から通行止めとなりました。

10月12日 猪駒通りの冠水状況(近隣にお住まいの方提供)

グランノア和泉多摩川前では歩道が見えなくなるくらいまで冠水しています。下の写真と比べると30cmくらいの水深でしょうか。

同じ場所の平常時(Googleマップより)
駒井町の住宅

こちらのお宅は車庫と思われる部分のシャッターが、冠水による影響か、ひしゃげています。

猪駒通り (国土地理院10月13日撮影)

多摩川住宅の航空写真と同じく、10月13日午前中に国土地理院が撮影した航空写真です。中央付近をカーブしながら通り、右下で土手道に合流するのが猪駒通りです。

猪駒通り (国土地理院10月13日撮影)

住宅街は道路が狭く、床上浸水があった範囲は判読つきませんが、猪駒通りは水色の部分に冠水跡が見られます。

このあたりも多摩川が氾濫したわけではありません。原因として考えられるのは上の写真のピンクの○に示した猪方樋門(ひもん)です。

猪駒通り南端の猪方樋門

猪方樋門は周辺で集められた下水道の雨水幹線が多摩川に排出される場所です。ここも多摩川の増水に伴いゲートが閉じられ、集まった雨水の逃げ場がなくなり周辺が冠水したのではないでしょうか。 (→10月27日訂正記事:多摩川の逆流が原因か)

狛江市の対応

避難した住民でいっぱいの狛江第二中学校
(近隣にお住まいの方提供の写真を加工)

狛江市では台風が近づく前日の11日から、中央公民館に自主避難所を開設すると発表していました。避難勧告などが発令される前でも、早めに避難をしてもらうためです。12日の朝に自主避難所が開くと、訪れる住民は予想以上に多く、市役所のロビーや議場を開放したほか、多摩川に比較的近いため本来水害時の避難所には指定されていない二中も自主避難所として開設しました。おそらく猪方・駒井町方面の住民の避難が多かったからでしょう。

市ではその後13時に災害対策本部を設置、開局に向け試験電波発信中のコミュニティFM放送局コマラジを臨時災害放送局として開設しました。

16時30分に多摩川に近い地域に避難勧告が発令され、先に開設されていた二中のほか、一中、三中などでも避難所を開設しました。避難する住民が増え、二中は約1000人が避難したとのことです。入りきれなくなる人も出てきたので三小、六小も避難所開設、最終的には11か所の避難所に約4000人が避難したそうです。

三中、三小、六小も水害時の避難所として指定されていませんが、これほどの人数を収容できる施設がなく、やむを得なかったのでしょう。19時頃には大人数が収容できそうなエコルマホールも避難所となりました。避難勧告を受けて最初二中に行ったが入れず、六小に移動したという住民も多かったそうです。市でも今後の課題として認識しているとのことでした。

市内では床上浸水の被害もあったので、16日に住民からの手伝い要請や災害ボランティアを受け入れるボランティアセンターを開設、災害ごみの処理や罹災証明書の発行も対応している模様です。

※市の対応状況は狛江市のTwitterに残されている記録に基づいています。避難者数や、市の認識についてはNHKニュースの情報によるものです。

(3)へ続く